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Column

グラスワイン提供でも ワインでリンス、のイタリアン

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ソムリエから転身した料理人がいれば、料理人からソムリエへ宗旨替えした人もいる。
麻布台のイタリア料理店「アフェット」の支配人ソムリエは、後者。ヨーロッパ数カ国を渡って料理の腕を磨いたのに、帰国したらスパッとサービスの世界に入ってしまったとか。
だもんで、料理の説明がよどみない。早い口調であふれんばかりの情報を伝えてくる。ワインも然り、ガッツリ語ってくれるので、最後はお腹も頭もいっぱいに!

はてさて、いちばんお伝えしたいのは、この店独特のワインサービスだ。
グラスワインを提供する場合でも、つねにグラスを極少量のワインでリンスする。リンス用のワインは支配人の手元に置かれたテイスティンググラスに注ぎ、試飲して状態をチェック。それから、あらためて客用グラスにワインを注ぐ。
「どんなに洗浄したとしても、無味無臭のグラスはありえないですから」
との理屈には納得。まあ、
「なにもそこまでせんでもなぁ」
「人件費かかるし」
「静かに注いだところから、スワリングで香りを広げるのが楽しいんじゃないか」
などと言いたくなる気持ちも分からんではないが、それは各店の哲学次第だ。たとえ哲学に沿わなくとも、ひとつのプレゼン方法としておさえておくのはアリだろう。

ちなみに、食後の飲み物でミントティーを頼むとキッチンからシェフが登場し
「お客様のご希望に合わせてブレンドいたします」
ハーブ関連の認定資格をもち、効能と味の好みを考え一人ひとりに合った調合を施してくれるという。
「『私をイメージしてブレンドを』とのオーダーも承りますよ」
とおっしゃるので、調子にのった私は
「じゃあ、人生に疲れたオンナにピッタリのやつ」
「……」
ふざけたオーダーにも関わらず、ちゃんとレモングラスやらが入ったリラックス効果満載のブレンドを出してもらえた。あーよかった、唐辛子配合で地獄の底へ突き落とされるブレンドとかじゃなくて……。

とにもかくにも、客の意を汲める料理人、そして料理も料理人も理解してるサービススタッフ、っていうキッチンとフロアのボーダーレスな関係は客にとって心地よいものだよね。

文・山本ジョー

画像_カウンターに積み上げられているのは、ミントティー用にブレンドしたハーブの瓶。