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インドネシアで古都散策と地ビール探索

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インドネシアの京都と言われる、ジョグジャカルタ。ボロブドゥール遺跡などの世界遺産に近く、またジョグジャカルタ市内にも歴史的建造物が点在している。そんな古都にて、たっぷりのフリータイム。となればホテルを出て、周辺の散策とビール探索だ。
行く先々で、ベチャと呼ばれる三輪自転車の漕ぎ手から「王宮行くの? 乗っていく?」などと声を掛けられるが、「大丈夫、歩くよ」と答えると、すんなりと諦めて笑顔で見送ってくれる。土産物屋の勧誘でさえしつこくないのは、元来の国民性か。アーミー崩れのような私のファッションに問題があったかどうかはさておき。

さて、お金をなかなか落とさない観光客で申し訳ないのだが、この町では無料で王宮跡地を見学できる。





18世紀に建てられた王宮の中心や離宮はきちんと整備されており、こちらは入場料がかかる。





だが、とくに「タマン・サリ」と呼ばれる離宮の外に佇む建造物に関してはほぼ、ほったらかし。
とはいえ、そのほったらかしエリアにこそ、食にまつわるエリアが存在する。子供たちがボール遊びに興じていたのは、その昔、公式な晩さん会を催したダイニングルームの跡地だ。





晩さん会用スペースから徒歩3分ほどの距離には、王様とお妃様がプライベートで過ごす、小規模なダイニングルームが。横には楽団の演奏場所もあり、素晴らしい演奏をした人は、王様が近くまで呼び寄せてチップをはずんだのだとか。





王宮内の食事を用意したセントラル・キッチン。家屋の外には井戸、中には竈。石のベッドのようなものは、食材を切るスペースだったそうな。
食関係以外にも、美女専用(?)ロッカールーム、お風呂やサウナ、王様専用のご不浄、などなど見どころ満載。この町で生まれ育ったとしたら、壮大な規模でおままごとをしていそうだ。

……と、妄想をかきたてながら町をほっつき歩いたあとは、いよいよビールの時間。





インドネシアを代表するビールのひとつが、「ビンタン」。オランダ植民地時代にハイネケンを作っていたビール工場を引き継いでいるため、ビールのラベルにはハイネケンと同じ赤い星があしらわれている。
クリーンでキレのある味わいがハイネケンに似てはいるが、極寒の冬に訪問したオランダのハイネケンと、常夏のインドネシアで飲むビンタンを比較するのはむずかしい。





もうひとつ、ビンタンと並ぶメジャーなビールが「バリ・ハイ」だ。
ビールを置く店のスタッフに「どっちがおすすめ?」と何度か尋ねてみたが、「僕はビンタンが好き」「バリ・ハイのほうがビンタンより軽いので、ビンタンがいいと思う。あ、私はビール飲めないんだけどね」と、どのような理由であれ、皆さん揃ってビンタンをプッシュしてくれた。バリ・ハイは、こちらのジャワ島からバリ島へ渡れば、今度はその名前でもって一番人気なのかもしれないが。





ところで、世界遺産に認定されているボロブドゥール遺跡の最下部には、飲酒を戒めるレリーフが飾られている。神聖な仏教遺跡を訪問して我が身を振り返り、反省モードに入ったそのとき、目についたのはビンタンのノンアルコール版。





もちろん即買いしてプシュッ、ゴクゴク。
……ん、ノンアルコール・ビールなのに、あ、甘い……。ビールらしさを微塵にも感じさせない、まさかのスポーツドリンク味。
やっぱり普通のビンタンがいい、と涙目になりながらビールを置くカフェへ駆け込んだ。悟りの道は遠い。


文・山本ジョー