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パリ在住ライターが現地情報をお届け! ワイン&フードダイアリー 39

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みなさん、こんにちは!お元気ですか?
パリはますます人が減り、本格的なバカンスシーズン突入です。
家の近所でも、マルシェでも休暇に入る店が増え、
日々の買い物にも困っているのが現実ですが、
人も車も少なく、静かなパリもいいものです。

さて、今回は少し前に訪れたアルザスのワイナリーのおはなし。
パリからTGVで2時間ほどでアルザス最大の都市ストラスブールに着き、
そこからさらに30分ほど乗ると、コルマールに着きます。
今回の目的地は、そこから7キロの小さな村、ツェレンベルグです。





お世話になったのは、ビオディナミ生産者のマルク・テンペ。
ツェレンベルグに生まれ育ち、11年間INAOに勤め、
1995年から自身のワイナリーでワイン生産を続けています。





テンペの印象は、とにかく真面目で働き者。
ワイン以外の話をしているときは冗談ばかりなのですが、
仕事の話になると怖いくらい厳しい表情になります。
この几帳面さがないと、自然環境に向き合うワイン造りを
こなしていくのはむずかしいのだな、と思わされました。

さて、ビオディナミとは「自然派」と呼ばれるワイン造りの一種。
ルドルフ・シュタイナーの人智学に基づき、
宇宙との調和を重んじ、地球環境を尊重し、
独自の天然素材肥料などを用いる農法のこと。
こう書くとむずかしいのですが、ごくごく簡単に表現するならば、
できるだけ植物本来の力を引き出し、自然の流れに沿って育てる農法、
という感じでしょうか?

なお、アルザスはフランスでのビオディナミ発祥の土地であり、
また気候的にも向いているため、現在では全生産者の約10%が
ビオディナミの実践者なのだそうです。

まずはツェレンベルグの畑に案内してもらいました。
伺ったのは6月だったので、まだ開花前でした。







草がボーボーと生えていて、一見整備されていないようですが、
テンペいわく「これが自然で、畑そのものが生きている状態」。
地中の生物や植物が、ブドウにとっていい土壌を作ってくれます。
実際には整備されていないどころか、理想的な状態を保つために
毎日、毎日手間をかけて世話をする必要があります。
合成農薬や除草剤を一切使わないため、虫や病気の発生を防ぐ努力も
並大抵のものではありません。





最近では、ブドウの苗自体もオーガニックのものを採用し始めたそう。
オーガニックの苗は市場でもまだ珍しいのだそうです。
これから、どんなワインができるのが楽しみです。

醸造所と自宅のあるツェレンベルグはとても小さな村で、
歩いて20分で一周できるほど。






アルザスらしい可愛い町並みの中に、さりげなく佇むテンペ家。
カーヴに案内していただき、テイスティング。






大きな樽(フードル)と小さめの樽(ピエス)を使い、
2年間かけて発酵と熟成をします。もちろん、酵母は天然のもののみ。
出荷時には発酵を止めますが、それまでずっとじっくり発酵を続けます。
発酵を続けているワインは、やわらかで優しい果実味と
酵母の生命感にあふれ、飲むと元気をもらえるようでした。

おまけで、夕食の様子の写真を公開!





テンペ家のテラスでワインと郷土料理の肉パイ
「トゥルト・ド・ビニュロン(ブドウ栽培者のトゥルト)」をいただきました。
ワインはピノ・ノワールM、ゲヴュルツトラミネール マンブール・グラン・クリュ、
そして栽培・醸造責任者を務めるドメーヌ・クールビサック ミネルヴォワ。
どのワインもキレイでイキイキした酸が印象的。
とくにピノ・ノワールは、レッドチェリーのようなフレッシュな赤果実の風味と、
豊かで穏やかなイチゴ&ラズベリージャムのような深い味わいで、
いつまでも飲み続けたくなるワインでした。

では、また来週!


文・吉田恵理子/パリ在住