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醤油工場で醗酵のお勉強 ~大人の社会科見学~

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ワインまみれの日々を送ると、「醗酵といえば酒だろ」で終わりがち。
でも、チーズやヨーグルトもノンアルコールの発酵食品。さらには納豆も味噌も醤油も、そしてカチカチに硬い鰹節も、ぜーんぶ醗酵の産物だ。



そこで、ふと千葉へ。東京から犬吠崎方面へ車を走らせると、銚子駅そばに2大醤油メーカー「ヒゲタ醤油」と「ヤマサ醤油」の工場が見えてくる。
どちらも一般見学ツアーが用意され、醤油ができるまでの過程についてタダで勉強できる。
しかも、見学終了後には醤油のお土産つき。卓上サイズの醤油を1本、大人だけでなく子供にも持たせてくれるのだから、太っ腹な話だ。

よし行くぜ、醤油醗酵見学ツアー!
まずはヒゲタ醤油で見学を申し込む。



工場敷地内に車を停め、歴史ある建物を眺めながら映像室へ。



映像室は、学校の講堂のような空間。ここで流れる映像は、ヒゲタの歴史を追っていく内容……だったのが、途中から「創業385周年を記念して制作されたフレスコ壁画」の素晴らしさが滔々と語られるように。日本の鏝絵じゃなく、イタリアのフレスコ画というチョイスもナゾだが、そもそも「385周年」って節目が微妙な気もする。



もやもやとした気持ちのまま映像を見終わった後は、工場見学に移る。
ここより後は基本的に撮影禁止なので、カメラはしまい、案内役のお姉さんにチャチャを入れながら歩いていこう。麹を作るブースなどをガラス越しに眺めながら、てくてく移動。



工場見学がほぼ終わりかけたところで、「ここは撮影してもらってかまいません」と言われるフレスコ画のポイントへ。「あー、さっき映像で言ってたヤツってコレね!」と納得。 
制作者はヴェネト在住の日本人夫妻で、縦2.8m×横10mの大作である。作品テーマはヒゲタ醤油の理念である「天地人に感謝」なのだそう。
そういえば、工場入口には「フレスコ画のある醤油蔵」って看板が立ってたっけ。ここに来て、なぜ醤油蔵にフレスコ画を置こうとしたのか意図がまだ不明なままだが、工場見学でアートに触れられるのはおもしろい試みだ、とは言える。



そして見学ツアー終了。
ホクホクとお土産の醤油をいただく。本醸造超特選こいくちしょうゆ「本膳」。上級クラスのしょうゆだ。



なお、見学ツアーに参加せず、歴史的資料の並ぶスペースに足を踏み入れるだけでも見応え充分。江戸時代、長崎経由でヨーロッパへ醤油が輸出されていたなんて事実も、資料スペースで学ぶことができる。
最後に直売所へ立ち寄り、年1回だけ醸造している限定しょうゆ「玄蕃蔵」を記念に購入すれば、ヒゲタ醤油をコンプリート!



さあ、お次はヤマサ醤油だ。
ヒゲタ醤油からヤマサ醤油へ向かうと、車で10分弱の距離にある。銚子駅から徒歩12分のヒゲタ醤油と比べ、ヤマサは徒歩7分と近く、電車組はわりとヤマサに流れやすい。
工場見学ツアーの流れはヒゲタと同じく、映像と見学で30分程度。最後にお土産として醤油がもらえるのも一緒である。

しかしこちらには、ヒゲタになくてヤマサにはあるオリジナル製品が存在する。



工場販売センター限定の、しょうゆソフトクリーム(250円)。
醤油の芳ばしさがキャラメルや黒糖を思わせつつ、最後の残り香で「んー、やっぱ醤油だ」となる風味である。醤油らしさをこれ以上少しでも主張させるとバランスが崩れる、ギリギリの際どさがたまらない。



そして、販売店ではヤマサ醤油ストラップをゲット。


大人になると、ちとタルイ気分にもなる工場見学ツアーではあるが、「日本酒の醸造場と共通する風景だな」「このタイミングで火入れするのか」など醗酵の勉強にはうってつけだ。
さらには、小ネタも仕入れられる。



ヒゲタとヤマサ、各社のマークには「上」の文字が。これは江戸幕府から「最上醤油」と称号を与えられた名残なのだそう。ヒゲタは1616年創業、ヤマサは1645年創業。江戸幕府が開幕したばかりの頃から続く会社だとは、こりゃ恐れ入った。
老舗企業たちの発酵技術を垣間見る工場ホッピングは、歴史好きの心もくすぐってくれるようだ。

文・山本ジョー


ヒゲタ醤油
http://www.higeta.co.jp/


ヤマサ醤油
http://www.yamasa.com/